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評価:
トーベ ヤンソン
講談社
¥ 557
(1999-02)
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評価:
トーベ・ヤンソン
講談社
¥ 609
(1981-01)
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いつからか、どういうわけか、
ムーミンに心惹かれ(笑)、
最近ハマってます。
今までムーミンのことを知っていた気になっていたけど、
実は絵本もアニメも見たことがなかったみたいです。
そう、今回がほとんど初対面。
なので、ムーミンは実は児童文学、小説だったってことも知りませんでした。
トーベ・ヤンソンというフィンランドの女性が書いた物語で、
この方は元々風刺画を描いていた人だそうです。
ヤンソンは戦争が始まり、仕事が行き詰まり、
いつからか幸せな物語を書きたくなり、ムーミン物語を生み出しました。
けど、風刺を描いていただけあって、ただの児童文学に留まらない、
ていうか、これは子供向けじゃないんじゃないか?ってくらい、
奥の深い、素晴らしい作品なのです。
なにが凄いって、設定がめちゃくちゃで、読みづらい。
(笑)
ムーミンってのは本当は種族名なのに、主人公の名前として使われているし、
ムーミントロールのトロールってのは妖精って意味だから、
これもホントは名前じゃない。けど、そこらへんがごっちゃで書かれているので、
ちょっと頭を使わないと理解できません。^^
話も色々急展開して、ツッコミどころ満載です。
けど、そのいい加減さが好きです。
その曖昧な表現や、矛盾が、読者を考えさせてくれるのです。
個人的に気に入っているのは人間関係です。
ムーミンに登場する人物はみんな違う考え方をしていて、
何か起きたときに、みんながバラバラのことを言うんだけど、
それが色んな角度、視点からの思考が垣間見れて、
ヤンソンの人の多様性を描く才能にまたびっくりです。
そこで起きる人々の反応や心模様も凄く素直で、
どの考え方にも共感しながら読んでしまいます。
けど、彼らもホントいい加減で、子供らしいというか、
あちこち横道をそれながら、やりたい放題の旅を繰り広げるのですが、
それでもヤンソンの戦争体験が活きているのか、
結構厳しい窮地に陥られるシーンが多く、生きてくことのたくましさや、
ムーミンたちの知恵や成長していく過程が見れたり、
大げさに言うと処世術や教育論やこの世界の真理みたいなものが
垣間見れちゃうってのが、この物語の奥深さだったりします。
基本的にはなんでも受け入れるってのがムーミンスタイル。
ムーミンの家には誰でも自由に出入りできて、誰も遠慮なんかしない。
そして、自由に出て行く。
なんか、このスタイルが自分には凄くなじむ気がするのです。
あくまで児童文学なので、気軽に読めるし、小説なので読みごたえもあります。
全9話で、とりあえず順番どおり「小さなトロールと大きな洪水」、
「ムーミン谷の彗星」の順に読みました。
同時にムーミン解説本「ムーミン谷のひみつ」も読んでて、
おもしろさ倍増です!(笑)
ホントは仕事に趣味に色々と忙しかったりするんですが、
切羽詰っているときこそ、いっぱい横道それないと、もたないですよね。
ムーミンもそれを教えてくれている気がします。
本読むの遅いので、全話読むのに半年くらいかかりそうだけど、
続きを読むのが楽しみです♪
文学としてのムーミン、オススメです!