時間論。 | 01:38 |
エンデの『モモ』のメインテーマ「時間」について
考えれば考えるほど興味深くて、ちょっとハマっています♪
「過去」「現在」「未来」。
『モモ』の中にも出てくるんだけど、あるのは実は「過去」と「未来」だけで、
「現在」は一瞬で「過去」に変わるから、本当は存在しないんじゃないか?って説。
けど、おれたちは過去に生きている訳でも、未来に生きている訳でもない。
やっぱ現在だよね。「現在」は一瞬だけど、存在はしている。
Newtonって科学雑誌でちょうど「時間とは何か」って
特集をやってて読んだけど、これがまたおもしろい。
紀元前5世紀の哲学者ゼノンは、「飛ぶ矢は一瞬一瞬では静止している。
静止している矢をいくら集めても、矢は飛ばない」と論じた。
けど実際には矢は飛ぶから、この論はどこか間違っているのだけど、
パラパラ漫画も映像技術(映画フィルムとか)もまさにこれだよね。
このひとコマひとコマはまさに一瞬を切り取った「現在」なんだ。
また、哲学者アリストテレスは、時間とは
「運動や変化が起きて初めて認識できるもの」と説いた。
火のついたろうそくは小さくなるから時間が流れているが、
火がついていないろうそくは変化がないから時間の流れを認識できない。
極端に言えば、時間は流れていない。
それに対して、ニュートンは「物体があろうとなかろうと、運動していようといまいと、
そうしたこととは無関係に、ひたすら一定のテンポで刻まれる絶対時間が存在する」と説いた。
仮にこの世のすべてのものが無くなってしまったとしても、やはり時間は流れ続けるという考え。
また、ニュートンは「絶対時間は直線的なもので、無限の長さを持つため、始まりも終わりもない」と説いた。
「時間」はいつから始まったのか?という疑問は、
この世はいつ始まったのか?って話に直結する。
宗教的には神がこの世を作り、宇宙論的にはビッグバンが世界の始まりとなる。
哲学的にはそれ以前に、私達の存在を論ずることが前に来てしまい、
時間論にたどりつけないかもしれない。
『モモ』の中でも「時間の源」のシーンが出てくる。
これは個人的な解釈だけど、「時間は心の中にある」って伝えているんだと思う。
美しい時間の花が咲いては散り、二度と同じ花が咲かないことで
時間の「無常」や「逆戻りできない」という真実を伝えていて、
光の柱がもたらす星々の声は、自分の認識の中を声を表していて、
「自分の存在が時間を創り出している」という哲学的な答えを
導いているんじゃないだろうか?
『モモ』では、気持ちの持ちようで、時間を生かすことにも死なせることにもなる
というようなメッセージが込められているから、
哲学的な話ではなくて、精神論的な話のような気もするけどね。
どれもこれも興味深いアイデアばかりで、飽きないですね。^^
小説『モモ』 | 01:37 |
ミヒャエル・エンデの小説『モモ』を読みました。
エンデは映画『ネバーエンディングストーリー』の原作を書いた人です。
街に突然現れた少女モモは円形劇場に住み、
親切な街の人たちと仲良くなり、楽しい時間を過ごす。
そんな中、突然街の人たちがせわしなく「時間の節約」を始める。
時間どろぼうの灰色の男たちがみんなをだまして、
時間を吸い取っていたのだ。
次第にみんなモモのところに遊びに来なくなってしまう。
けどモモも頑張ってみんなの目を覚まさせる。
それが灰色の男たちを怒らせてしまう。
モモは導かれるように時間の国に行って、
時間の本質を知るようになる。
そして、モモは灰色の男たちと戦うことになる。
「時間」がテーマになっていて、
児童文学なんだけど、大人も充分楽しめます。
ていうか今の時代、せわしない大人こそ読んでほしい。
モモは無駄に見えても「楽しい時間」を過ごし、
時間の国のマイスター・ホラは「生きた時間」が大事と教える。
そして友達との友情がモモに「勇気」を与え、
「時間の節約」を促す灰色の男たちを倒すってのが、
現代の病理をついた風刺のようにも見えるのがおもしろい。
灰色の男たちのように死んだ時間を過ごす人のことを
この物語で致死的退屈症と呼んでいるけど、
この病気にかかっている現代人って多いんじゃないかな。
ていうか、ほとんどの人がこの病気の予備軍かもしれない。
個人的には忙しい毎日も楽しむことができれば、
生きた時間を過ごせるんじゃないかなって思います。
どんなことでも楽しみを見つけることができれば、
時間を無駄にすることなんてないし、
未来につながる大きな試練だと思えばね、
どんな辛いことも乗り越えられると思う。
けど、無意識にうつ病にかかっちゃうこともあるし、
適度に休むことも大切ですよね。
自分の場合、写真を撮ったり、大自然の中に身を置いたり、
大好きな音楽を聴いたり、映画を見たり、
ゆっくりホッとできる時間を持つようにしてます。
でもいつ自分のところにも時間どろぼうたちが現れるか分からないし、
気をつけたほうがいいかもしれないですね。
映画『リトル・ダンサー』『BROTHER』 | 01:35 |
撮るしん。ポストカード。 | 01:03 |
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