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評価:
村上 春樹
講談社
¥ 540
(2004-09-15)
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読みかけだった村上春樹の小説
『ノルウェイの森・下巻』を読み終えました。
上巻で散々だった感想は、下巻でも大して変わりませんが、
後半はまだ展開があって読めたかな。
けど、相変わらず根底を流れる不快感。
おれにとってこの作品は不快感の塊です。
内容は病や死に纏わる不幸や喪失感にもがき、
なんとか周りの慰めを得ながら乗り越えようとする話。
そしてその慰めとは…セックス。
そのため性描写が異様に多い上、男女関係なく
あられもない性に対する興味、発言、行動が大胆露骨に描かれ、
表向きはただのエロ小説です。^^;
けど、喪失感を埋めるためという同情を引いているため、
イヤラシイことというより、自分を不幸から救ってくれる
とても素敵なこととして描かれている。
それは大きな意味で愛かもしれないけど、
いわゆる恋愛とは明らかに違い、正常とはいえない。
それをごく当たり前のことのように世界を築いてしまっている点に
大きな不快感を覚えてしまうのです。
死んだ親友の彼女、彼氏持ちの女の子、家族を置いてきた中年女性…
関係を持ちながらもそこになぜか罪悪感とか嫉妬とかいう感情が出てこない。
世の中はそんなもんなのか?^^;いやどう考えても不自然だろ。
この小説では、正常な世界とそうでない世界を逆に捉えていて、
自分の頭が固いと指摘されているようでもあるけれど、
おれは世の中には最低限守らなければならない一線があると信じていて、
変な常識を植えつけるこの作品のタブー破りな作風がどうしても好きになれない。
世間の評価も問題作として取り上げるべきだと思う。
結局この小説の本質は「死がもたらす喪失感」であり、
性交渉はそこから抜け出そうとする衝動に過ぎない。
彼らはそれで幸せになれると信じているし、
同時に大きく傷ついて、喪失感を強くしたりもする。
まぁ、とりあえずこの本はできるだけ多くの人に読んでほしくないし、
子供たちには絶対読んでほしくないなぁ。
そうそう、おれの基準って子供だなって最近気がついた。
子供が感動するとか、子供がワクワクするとか、
子供が夢を持つとか、子供が笑顔になるとか…
きっとおれはあの頃の気持ちを今でも基準にしていて、
そんな気持ちを思い起こさせる作品を自分も作りたいって思っているんだ。
『ノルウェイの森』はそういうのとはかなりかけ離れている。
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